自動メモ化プロセッサにおける再利用率向上のための入力値比較手法

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佐藤 裕貴, 津村 高範, 津邑 公暁 : "自動メモ化プロセッサにおける再利用率向上のための入力値比較手法", 情処研報 (SWoPP2015) ,pp1--8 (Aug. 2015) 予稿

Abstract

計算の近似化によって実行時間や消費電力を削減するApproximate Computing が,ハードウェアからソフトウェアに至るまで様々な分野で盛んに研究されている.一方,我々は計算再利用技術に基づく自動メモ化プロセッサを提案している.自動メモ化プロセッサは,計算再利用の対象となる関数の入出力を再利用表に記憶し,それらを再利用することで,同一入力による同一命令区間の実行を省略し,高速化を図る手法である.本稿では,この自動メモ化プロセッサにApproximate Computing の考え方を適用し,併せて,Approximate Computing の対象とする関数や入力を指示するためのプログラミングフレームワークを設計することで,自動メモ化プロセッサをベースとしたApproximate Computing 基盤を提案する.提案手法の有効性を検証するため,MediaBench のcjpeg を用いてシミュレーションによる評価を行った.その結果,既存の自動メモ化プロセッサと比較して,提案手法ではわずかな画質の低下で最大22.3%の命令実行サイクル数を削減し,また,最大29.5%の再利用率の向上を達成し,その有効性を確認した.