投機的実行により並列度を向上させるハードウェアトランザクショナルメモリ

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山田 遼平, 堀場 匠一朗, 井出 源基, 橋本 高志良, 津邑 公暁 : "投機的実行により並列度を向上させるハードウェアトランザクショナルメモリ", 情処研報 (ARC200) ,pp1--9 (Jan. 2014) 予稿

Abstract

マルチコア環境における並列プログラミングでは,一般的にロックを用いて共有リソースへのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナルメモリ(TM)が提案されている.これをハードウェアで実現するHTM では,一般的にアクセス競合が発生した場合にトランザクションの実行を停止する必要があるため,一時的に並列度が低下してしまう.そこで本稿では,競合が発生したとしてもトランザクションの実行を停止させず,競合相手がコミットまで到達すると仮定して投機的に実行を継続することで並列度を増大させる手法を提案する.評価の結果,既存手法に比べて,最大9.63%,16スレッドで平均1.74%の実行サイクル数の削減を確認した.