ハードウェア・トランザクショナル・メモリにおけるトランザクション定義単純化モデルの検討

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橋本 高志良, 鈴木 大輝, 堀場 匠一朗, 津邑 公暁, 松尾 啓志 : "ハードウェア・トランザクショナル・メモリにおけるトランザクション定義単純化モデルの検討", 情処研報 (SWoPP2013) ,pp1--8 (Jul. 2013) 予稿

Abstract

マルチコア環境では,一般的にロックを用いて共有変数へのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナル・メモリ(TM)が提案されている.この機構においては,アクセス競合が発生しない限りトランザクションが投機的に実行されるため,一般にロックよりも処理性能が向上する.この機構のハードウェア実装はハードウェア・トランザクショナル・メモリ(HTM)と呼ばれる.しかし,HTM を用いて並列プログラミングを行う場合,プログラマはトランザクションの開始地点と終了地点をプログラム中に明示する必要があるため,従来のロックに比べて並列プログラムの記述が容易になるわけではない.本稿では,HTM におけるトランザクション定義を単純化し,メモリ同期地点を示す定義を新たに導入したプログラミングモデルを提案する.