ハードウェアトランザクショナルメモリにおける競合パターンに応じた競合再発抑制手法の適用

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鈴木 大輝, 江藤 正通, 橋本 高志良, 堀場 匠一朗, 津邑 公暁, 松尾 啓志 : "ハードウェアトランザクショナルメモリにおける競合パターンに応じた競合再発抑制手法の適用", 情処研報 (ARC196) ,pp1--8 (Mar. 2013) 予稿

Abstract

マルチコア環境における並列プログラミングでは,共有リソースへのアクセス制御にロックが広く利用されてきたが,その場合,デッドロックの発生や並列性の低下などの問題がある.そこで,ロックを用いない並行性制御機構としてトランザクショナル・メモリが提案されている.これをハードウェアで実現するHTM では,一般的にフラグを用いることで競合解決を実現する.しかしその方法ではスレッドスケジューリングの効率が悪く,トランザクションのアボートやストールが頻発する場合がある.本稿ではその代表的な例を2 つ取り上げ,各問題の解決手法をそれぞれ提案する.提案手法の有効性を検証するためにシミュレーションによる評価を行った結果,2 つの手法を組み合わせたモデルは既存のLogTM に比べて最大で72.2%,平均で28.4%の性能向上が得られることを確認した.