LogTMにおける適切な競合レベル選択による効率的ロールバック

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江藤 正通, 浅井 宏樹, 津邑 公暁, 松尾 啓志 : "LogTMにおける適切な競合レベル選択による効率的ロールバック", 情処研報 (SWoPP2011) ,pp1--9 (Jul. 2011) 予稿

Abstract

マルチコア環境における並列プログラミングでは,一般的にロックを用いて調停がとられている.しかしロックを使用する場合では,デッドロックの発生や並列性の低下などの問題がある.そこでロックを用いない並行性制御機構としてLogTMが提案されている.LogTMではプログラマがトランザクションの範囲を指定する必要があり,トランザクションの途中の状態に戻す部分ロールバックを行うにはプログラムの特徴を理解した上でトランザクションをネストさせなければならない.そこで本稿ではトランザクションがネスト構造でなくても部分ロールバック可能にする手法を提案する.これによりプログラマの負担を低減することができる.また,部分ロールバックをより有効にするため,最低限解決しなければならない競合のみを解消する位置へロールバックするように変更した.提案手法の有効性を検証するために既存のLogTMを拡張し,GEMS付属ベンチマークを用いてシミュレーション評価を行った.その結果,既存の部分ロールバック手法に比べて前者で最大18.5%,後者で最大16.7%のトランザクション内における実行サイクル数を削減した.